オーディソン AV quattro(128,000円/税別)-マルチアンプ

マルチアンプ接続で俄然パフォーマンスアップ


【インプレッション】
パッシブ・クロスオーバーネットワークを使い、AV quattroの2ch出力のみを使用してDS-SA3を鳴らした時は、低音の緩さがちょっと気になったが、マルチアンプ接続することで、予想通り、その辺は改善できた。改善というよりも、まるっきり別物の低音に変わる印象で、音が太くなるし、押しも強くなる。パッシブ・クロスオーバー使用時に感じた低音の緩さは微塵も無い。もしかしたら、押しの強いアメリカンアンプよりも力強いかも? と思えるほどエネルギー感があるし、低音も引き締まってくる。

とはいえ、グイグイ前に迫ってくるような押し付けがましさは無く、音楽の重心が下がって、安定感が増す方向のエネルギー感。ピアノの低音部の迫力ある音や中高音部の鮮度が高くツヤのある響きが印象的だ。その中高域も楽器の音ひとつひとつにエネルギーが乗って、音楽が生き生きと聴こえてくる。たまに、シンバルの音が硬くてちょっと騒がしいなあ、とか、ギターの音が賑やかだな、とか、トランペットの音がやたらと突き刺さるなあなどと感じることもあったが、トゥイーター用のゲイン調整を綿密に行えば解決できると思う(今回もゲイン調整はしたが、時間の制約がありそれほど綿密には行っていない)。音色的には、明るくウォームな方向だ。

音の立ち上がりのレスポンスも、パッシブ使用時より大幅に向上する。スネアのアタック音がヌケ良くバシッと立つあたりの気持ち良さ。レスポンスが良くなったおかげで、音像もよりシャープにピントが合ってきて、ヴォーカルはさらにリアルに聴こえるし、空間の情報量が高まったおかげか、音場もより立体的に表現される印象だ。ただしパッシブ使用時よりは若干広がるものの、音場の左右の幅はちょっと狭いように感じる。とはいえ、クルマの中ではスピーカーの装着位置も違うので、それほど気にしなくてもいいだろう。

 AV quattroの場合、2ch分をフロントスピーカーに割り当て、パッシブ使用で鳴らし、残り2chでサブウーファーを鳴らすという使い方もあるが、マルチアンプ接続でフロント2ウェイシステムを鳴らす使い方のほうが合っている印象。サブウーファーも使用する場合は、別途パワーアンプが必要だが、そのようなシステム構成にしたほうが、確実に良い音が得られそうだ。

【仕様】
■チャンネル:4チャンネル
■定格出力:120W×4(4Ω)/400W×2(4Ωブリッジ時)
■全高調波歪率:0.04%
■SN比:80dB
■周波数特性:4Hz〜80kHz
■消費電流:-
■入力レベル:300mV〜5V
■サイズ(幅×奥行×高さ):470×220×58mm
■質量:-

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オーディソン AV quattro(パッシブ使用時)のインプレッション

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Photo/伊倉道男