コンパクトだからと侮るべからず。この低音はまさにキッカー
【プロフィール】
アメリカを代表するカーオーディオ・ブランドのひとつ、キッカーの歴史はサブウーファーの歴史といってもいい。コンペティション用のソロバリックや角形サブウーファーのL7をはじめ、歴代モデルにサブウーファーの名機は多数。小容量エンクロージャーをカーオーディオに浸透させたのも、キッカーの役割が大きい。そんなキッカーの、いわゆる弁当箱スタイルのサブウーファーがHS8。トラックのシート背面に設置するような薄型サブウーファーは、これまでも多数ラインナップしているが、シート下に置くタイプは初めて。20cmユニットを搭載しているため、ボディサイズは他メーカーのものに比べるとやや大柄なボディが特徴だ。
【インプレッション】
シート下に設置できるように設計した、いわゆるお弁当箱スタイルのパワードサブウーファーは、ボディサイズが優先だから音圧は頼りないものがけっこう多い。だからシート下に入らないからと、ラゲッジルームに設置した入りすると「本当にサブウーファーが効いているの?」というくらい低音が物足りなかったり、まったくフロントスピーカーの音と合わなくて低音だけが別物として聴こえたりしまったり、室内でも聴こえるように無理してレベルを上げるから、音が歪んで質の悪い低音になってしまったりということが良くありがちだ。
ところが、このキッカーのHS8は違う。お弁当箱スタイルながら、まさしくキッカーの低音。エネルギッシュで音圧たっぷりの低音を再生する。これなら、ラゲッジルームに搭載しても室内で十分な音圧が得られると思う。試聴室のように、フロントスピーカーの間にHS8を置いた状態だと、レベルをかなり絞って、クロスオーバー周波数を低い周波数に設定して軽く鳴らすだけでOK。それでも低音の重心がグンと落ち、音楽を厚みたっぷりにエネルギッシュに楽しむことができる。今回、フロントスピーカーのハイパスのクロスオーバー周波数は63Hzに設定。スロープは-12dB/octにした時が、最もつながり良く聴こえた。ただし、これは設置場所等で変わってくるので、あくまでも参考に。車内で試聴しながら、最も良好なポイントに設定すればいい。
クロスオーバー周波数を高めに設定しても破綻なく、わりと良質な低音を再生してくれるので、どんなフロントスピーカーと組み合わせても調整はしやすそう。ただ、フロントスピーカーがDS-G20の場合、レスポンスが異なるので、そこをどう調整するのかがカギだろう。HS8は、音の立ち上がり自体は速いものの、けっこう粘っこい感じの低音で重みを加えてくる。だから、グルーブ感があって音楽がノリ良く聴こえるのだが、レベルを上げすぎるとHS8の低音だけがバラバラに鳴っているように聴こえてしまうのだ。だから、HS8とDS-G20を組み合わせて使うなら、きちんとつながる範囲でクロスオーバー周波数をできるだけ低く設定し、レベルも控えめにして鳴らすというのがいいだろう。それでも、十分にサブウーファーらしい音圧が得られるし、HS8が無い状態と比べれば、低域の再生レンジが拡大するし、音楽全体のエネルギー感も確実に増す。
【仕様】
■スピーカー構成:20cm
■定格出力:150W
■再生周波数帯域:25〜120Hz
■出力音圧レベル:-
■ローパスフィルター:50〜120Hz(-24dB/oct)
■最大消費電流:-
■サイズ(幅×奥行×高さ):352×238×79.4mm
■質量: 5.2kg
・キッカー HS8のサイトへ
ハーツ DBA200.3のインプレッションへ
カロッツェリア TS-WH1000Aのインプレッションへ
イートン MOVE 10-300Aのインプレッションへ
Tweet
Photo/伊倉道男