主に、純正システムなどにプラスして、手軽に音質向上を図る目的に使われ、僕も一時期、ヘッドユニットやスピーカーを市販品にグレードアップする前に純正システムに加える形で使っていて、それなりに満足していた時がある。
そんなブラックボックスタイプのサウンドシャキットは第4世代まで進化したのち現在は完売し新品は買えないが、代わりにiOSアプリとして登場した。価格は 3,000円。ブラックボックスタイプの最終モデル、PA504-Z2が6万円(税別)だったことを考えると、ものすごくリーズナブルだ。
このアプリはサウンド調整機能と音楽再生機能が一体化したもの。iPhone内の音楽をこのアプリで再生すれば、サウンドシャキットをはじめとした各種サ ウンド調整を行った状態で音楽が楽しめる。つまり、これまで必要だったブラックボックスは不要。手持ちのカーオーディオがUSBを装備していて、それを通 じて音楽が聴ける状態、もしくはBluetooth経由で音楽が楽しめる状態であれば簡単にサウンドシャキットの効果が味わえるのだ。
12のパラメーターから好みの音を選べる |
2D Padは感覚的にサウンド調整ができる |
どうすればどのように変わるの か、細かい説明はないが、触ってみると、赤い点を右側に寄せれば広域側が強調され、逆に左側に寄せれば低域寄りの音になる印象。そして赤い点を上に上げて いくと効き目が強くなり、下に下げると効き目が弱まるように感じる。接続するヘッドユニットのS/Nがあまり良くない場合、赤い点を上に上げすぎるとノイ ズが目立ってくるケースもあるので、そんな時は上下の真ん中よりも上げない程度で左右に赤い点を振ってみて、好みの音質に調整するのが良さそうだ。
タイムアライメント機能も搭載する |
とはいっても、2ウェイや3ウェイスピーカーのユニットごとに補正できるわけではな く右チャンネルと左チャンネルの距離差の補正なので、たとえば元々、トゥイーターとウーファーがリスニングポイントまで等距離の位置にない場合、厳密な補 正は不可能。したがって、効果のほどは元のシステムのスピーカー配置によっても変わってくるわけだが、赤い点を左右に動かすことによって、ヴォーカルなど センターに定位する音像を好みの位置に移動させることができる。
ホームオーディオのベストなリスニングポジションで聴くような厳密な音場再生を期待する人には物足りないが、耳に近いスピーカーにヴォーカルが引っ張られるのが不満と感じている人が、なんとなくヴォーカルが目の前にいるように聞こえるように調整することは可能だ。
縦でも利用可能 |
絶対的なクオリティは、元々のオーディオシステムによるところが大きいので、ヘッドユニットやスピーカーを市販の高級機に替えたものにはかなわないし、市販の高級機に使ってさらに音を良くしようと考えてもそうなるとは限らないが、純正オーディオの音がどうにもこうにも情けないが、愛車を加工して大金をはたいてまで音をよくしようとは思わないという人もいるだろう。そんな人にはわずか3,000円の出費で、加工入らずで音響向上効果が得られるサウンドシャキットはぴったりだと思う。
最後に。ライトニングケーブルでの接続と、Bluetoothでのワイヤレス接続を聴き比べてみると、断然、ライトニングケーブルで接続したほうが音が良い。クルマに音楽再生用のUSBが装備されているなら、ぜひライトニングケーブルで接続して聴いてほしい。また、サウンドシャキットの効果が得られるのは、このアプリで音楽再生をした時のみで、他のアプリで再生した時や、Apple Music等の音楽ストリーミングしたときには効かないのであしからず。
・サウンドサイエンス
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