厚さ4.5cmの超スリムなサブウーファーは音も独特
【プロフィール】
独自のHVT方式の採用により、厚さ4.5cmの超薄型ボディを実現したパワードサブウーファー。HVT方式とはリンク機構によりボイスコイルの動きを90度変換して振動板を動かす仕組み。通常はボイスコイルと振動板が1列に並んでいるためそれなりの高さが必要だが、HVT方式はボイスコイルが横に動き、リンクを介して平面振動板を上下に動かすため、薄く造れるというわけだ。振動板は21cm×8cmの角形で、これを上下2面に装備して両面駆動しているため、振動板面積は20cmウーファーに相当する。両面駆動は反動が少なく、エンクロージャー自体の振動が少ないのも特徴だ。
【インプレッション】
まず、このサブウーファーは良くある他のサブウーファーとは、まったく異なることを理解しておいたほうがいい。サブウーファーといえば、おそらく多くの人は「ズンズン」とか「ドンドン」と低音が鳴るものと思っているものと思う。そんな低音を、このモデルに期待しても無理。そのような音圧を感じる低音は出ない。とくに試聴室のような広い空間では、音圧が乏しい。車内でも一般的なパワードサブウーファーに比べると、音圧は弱いのだが、低域の再生レンジはわりと広く、25cmウーファーが再生するような低い周波数の音もしっかりと出るのが不思議なところ。サブウーファーを加えるというよりも、フロント2ウェイスピーカーに、より低音が再生できるスピーカーを加えて3ウェイ化するという感覚で使うほうがいいかもしれない。
そんな特徴をあらかじめ知り、音圧よりもクオリティと考えるのであれば使いやすいサブウーファーかもしれない。わりと高い周波数で使ってもフロントスピーカーの音とつながりやすいし、ひとつの振動板面積が小さいから、レスポンスもわりと良い。ここではフロントスピーカーのハイパス、サブウーファーのローパスとも80Hzにクロスオーバーポイントを設定。スロープはフロントのハイパスが-12dB/oct、サブウーファーのローパスが-18dB/octが最もつながりが良かった。
何度も言うが、良くあるサブウーファーのようなエネルギッシュな低音は得られない。しかしこのサブウーファーを追加することで、これまではっきりしなかった低音楽器の音程がわかるようになるし、ヴォーカルの艶とかシンバルの響きなども良くなる。低音が中高域にも影響することがわかりやすい不思議なサブウーファーだ。設置場所は、シート下などリスニングポイントに近い場所がおすすめ。ラゲッジルームなどリスナーから離れた場所だと、おそらく効果が薄れてしまうと思う。
【仕様】
■スピーカー構成:21cm×8cm2面角型両面駆動HVTユニット
■最大出力:200W
■再生周波数帯域:20〜200Hz
■出力音圧レベル(車室内音圧):89dB
■ローパスフィルター:50〜125Hz(-12dB/oct)
■最大消費電流:14A
■サイズ(幅×奥行×高さ):360×270×545mm
■質量: 5.28kg
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Photo/伊倉道男