以前よりはずいぶん落ち着いたがエネルギーとスピード感は健在
【プロフィール】
ロックフォードと並び、アメリカを代表するカーオーディオメーカーのひとつがキッカー。いまアメリカのメーカーは、買収等を繰り返してひとつのメーカーが複数のブランドを持つ形が多いが、キッカーは頑なに1メーカー1ブランドを貫き通している数少ないメーカー。創業当時と変わらぬオーナーの元、製品作りを続けており、音の傾向も一貫しているのが素晴らしい。このKXシリーズ・パワーアンプは、フラッグシップのIXシリーズのワングレード下のシリーズだが、IXシリーズよりも進んでいる部分もある、キッカーの最新アンプだ。
【インプレッション】
キッカーのパワーアンプといえば、どうしても思い出すのが、かつてのZRシリーズ。アメリカンオーディオらしく、トルクフルでエネルギッシュなサウンドは、ものすごく魅力的だった。それに比べると、最新のKXアンプは大人になってちょっと落ち着いた印象。それでも、制動力は十分に高くベース等の低音楽器が膨らむこと無く、輪郭がハッキリと出てくる。デジタルベースのものすごく低い周波数の音は、内蔵アンプだと制動しきれず膨らんでしまう傾向があったが、キッカーのアンプではそれは無し。そのため、低音が軽いと感じる人も出てくるかもしれないが、膨らむことなく締まってしっかりと出ているのでご心配なく。踏ん張りのきいたベースの音は躍動感があって、音楽の楽しさが伝わる。
解像度もわりと高いほう。音場はやや平面的で前後の奥行の表現は乏しいが、音像が明確に出てくる。音質的にはややソリッド傾向。トランペット等、ホーン楽器が勢い良く金属的に響くのが気持ち良い。スピード感ある音も、キッカーの持ち味だ。
マルチアンプ接続では?
マルチアンプ接続でも、全体的な音の印象はパッシブクロスオーバーネットワーク使用時と変わらないが、エネルギーバランス的に重心が下がるとともに、音の勢いが増して、よりアメリカンなエネルギッシュなサウンドが楽しめる。高域の質感も良くなった印象。シンバルなんかは、パッシブ使用時はちょっとドライでアタック音だけだったが、きれいな余韻が付いてくるようになった。音の立ち上がりがシャキッとして、スピード感もよりいっそう高まった気がする。かつてのキッカーのような、ワイルドさは薄れたが、大人になったキッカーの音も、十分に楽しい。
【仕様】
■チャンネル:4チャンネル
■定格出力:75W×4(4Ω)/125W×4(2Ω)/200W×2(4Ωブリッジ時)
■全高調波歪率:-
■SN比:95dB
■周波数特性:10Hz〜20kHz(±1dB)
■消費電流:-
■入力レベル:125mV〜5V (ローレベル)/250mV〜10V(ハイレベル)
■サイズ(幅×奥行×高さ):284×210×55mm
■質量:-
・キッカーKXアンプのサイトへ
カロッツェリア PRS-D700のインプレッションへ
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ロックフォード PUNCH P600.4のインプレッションへ
モスコニ GLADEN ONE120.4のインプレッションへ
チェレストラ FA475Xのインプレッションへ
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Photo/伊倉道男