イタリアの名門、オーディソンの兄弟ブランド、ハーツの普及アンプ
【プロフィール】
イタリアを代表する高級カーオーディオ・ブランド、オーディソンの製品を開発・製造するエレットロメディア社の別ブランドがハーツ。価格帯も含めて、オーディソンよりは若いユーザー層に向けた製品というイメージだ。このHCP4Dは、同ブランドのパワーアンプとしてはもっともリーズナブルなシリーズ。4ch機はD級とAB級の両方を用意するというユニークなラインナップで、HCP4Dは、幅215mm、奥行190mmというコンパクト・ボディが特徴のD級アンプである。
【インプレッション】
はじめにHCP4Dの2ch分だけを使い、DS-G20のパッシブネットワークを接続して音楽を聴いた時は、正直「これは困ったな…」という印象だった。DIATONE SOUND.NAVIの内蔵アンプで鳴らしたときに比べて情報量が削がれた印象だったし、音も痩せ気味。音場も平面的で、奥行きが感じられない…。低音の力感は多少増した印象だが、トータルでは内蔵アンプで聴いたほうがマシ…。そんな印象だったのだ。
ところがHCP4Dの4ch分の出力をフルに使って、DS-G20をマルチアンプ接続してみたら、完全に化けた。低音はもりもりと力強く音楽の重心がグッと下がった感じで安定感抜群。外部アンプに期待することのひとつが、内蔵アンプでは得られない低音のエネルギー感だが、マルチアンプ接続では、期待以上の低音が得られる。
高域はパッシブネットワーク使用時同様、ややドライな印象は残るが、パッシブネットワーク使用時には出なかったシンバルのアタック音の後の余韻が心地よく響くようになったし、パッシブ時はやや細身でハスキーに感じたボーカルも滑らかで瑞々しい歌声に変わった。おそらく、マルチアンプ化によって低域がしっかりと再生されたことで、中高域のハーモニクスがきれいに出るようになったのだろう。音の鮮度感も、音場の立体感も、パッシブネットワーク使用時とは見違えるようだ。
パッシブネットワーク使用時に気になった解像度も価格を考えれば十分だし、音像も明確に浮かんでくるようになった。そしてなによりも、バスドラムのキックがドフッと身体に響いてくるのが気持ちいい。DIATONE SOUND.NAVIがスタンダードモデルの場合、パッシブネットワークを使用することになるので無理におすすめはしないが、プレミアムモデルでマルチアンプ接続するなら、もっともリーズナブルに外部アンプを増設した効果を実感できるモデルといえるだろう。
【仕様】
■チャンネル:4チャンネル
■定格出力:75W×4(4Ω)/130W×4(2Ω)/260W×1(4Ωブリッジ時)
■全高調波歪率:0.02%
■SN比:80dBA(CEA rating)
■周波数特性:10Hz〜60kHz
■消費電流:-
■入力レベル:600mV〜5V (プリ入力)/1.5〜12V(スピーカー入力)
■サイズ(幅×奥行×高さ):215×190×50mm
■質量:-
・ハーツ HCP4Dのサイトへ
カロッツェリア PRS-D700のインプレッションへ
ESX X4のインプレッションへ
イートン MA-150.4のインプレッションへ
キッカー KX400.4のインプレッションへ
ロックフォード PUNCH P600.4のインプレッションへ
モスコニ GLADEN ONE120.4のインプレッションへ
チェレストラ FA475Xのインプレッションへ
Photo/伊倉道男
Tweet