温まるごとに本領を発揮するイタリアの名門、オーディソン・アンプ
【プロフィール】
イタリアを代表するカーオーディオ・メーカー、エレットロメディア社の最上位ブランドがオーディソン。アークオーディオにロバート・ゼフ氏がいるように、オーディソンにもエミディオ・バンニョーニ氏という音のマエストロがいて、アンプを含むすべての音を統括している。オーディソンの音創りに一貫性があるのはヴァンニョーニ氏によるところが大きい。
このHV dueは、オーディソンのフラッグシップアンプ、THESIS HV ventiのノウハウを活かしたアナログ部分に、最先端のデジタル部を融合させたTHESISシリーズの2chアンプ。デジタルプロセッサーのbitシリーズとの接続を簡素化したり、デジタルリモートコントローラーの接続ができたり、設定によってA級動作とAB級動作を切り替えられるなど、多彩な機能を持っているのが特徴だ。
【インプレッション】
このアンプ、電源を入れて数分は「えっ? こんなんでいいの?」としか思えない音がする。バランス的にはドンシャリ気味だし、音の立ち上がりは鈍いし、低域もユルユル…。とても30万円オーバーのアンプとは思えない音だ。ところが、それを通り越して温まってくると徐々に本領発揮。低音のエネルギーが強まり、全帯域にわたって音に厚みがましてくる。バスドラムのキックの圧力なんかは、迫力たっぷり。一般的なスピーカーなら、ここまでの迫力は出ないだろうが、低域の再生能力に優れたダイヤトーンDS-SA1だから、16cmウーファーでも、このような迫力ある音が出る。という意味では、ダイヤトーンとのマッチングは良いといえそうだ。
試聴を開始して10分以上経ったあとも、エネルギーバランス的には中域がわずかに弱めで、ヴォーカルの音像がちょっと奥に定位する傾向はあるが、声の質は良くスピーカーで再生しているような感じがしないリアルさ。高域は少し賑やかに聴こえる面もあるが、それが音に明るさをもたらしている印象。これで質が悪かったら、うるさい音になってしまいそうだが、質感が良くクリアな高音で、シンバルの音なんかは叩いた時の金属感がリアルだし響きもいい。聞き始めはもっさりしているなぁと感じたリズムも、温まるごとにノリが良くなり、演奏が熱気を帯びてくる。ミュージシャンの熱や体温といったところまで、音楽を通じて伝わってくるあたりが、このアンプの最大の持ち味といえるだろう。
ちなみにA級モードとAB級のモードを切り替えてみたのだが、全体的な印象はそんなに変わらない。A級モードだと中高域の繊細さが増し、AB級のモードだと低域の踏ん張り感が強まるイメージ。個人的にはAB級のモードのほうが好みだった。
【仕様】
■チャンネル:2チャンネル(1chあたり175,000円/税別)
■定格出力:300W×2(4Ω)/500W×2(2Ω)/750W×2(1Ω)/1000W×1(4Ωブリッジ)/1500W×1(2Ωブリッジ)/80W×2(Aクラス・モード)
■全高調波歪率:0.02%
■SN比:106dB
■周波数特性:5Hz〜70kHz
■消費電流:-
■入力レベル:300mV〜4.8V
■サイズ(幅×奥行×高さ):510×259×67mm
■質量:-
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Photo/伊倉道男