近日公開!「MapFan for iPhone」プレビュー!
17:45
「MapFan for iPhone」と従来の地図&ナビアプリとの違いは、「MapFan for iPhone」が地図内蔵型であるということだ。iPhone向けの地図アプリやナビアプリはMapを始め多々あるが、従来のものはすべてオンライン型。つまり地図データはすべてサーバーにあり、現在地の周辺の地図をダウンロードして表示&案内する方式だ。
それに対して「MapFan for iPhone」は、アプリの中に基本的な地図データと検索データを組み込んでいる。つまりオフラインでも、地図表示や検索ができる。従来型は、通信圏外だと地図表示や案内ができない場合もあるのに対し、「MapFan for iPhone」なら通信圏外の山の中などでも、しっかりと使えるわけだ。
そのため、アプリのデータ量は大きく、約800MB。iPhoneにインストールするには、約2GBの空き容量が必要だ。800MBというと、地図ソフトのデータ量としてはそれほど大きくはないが、都内では家形がわかる詳細市街地図の表示もできる。ただし、大阪、名古屋、福岡あたりは通常地図のみだったので、詳細市街地図を表示できるのは、都内、横浜など、関東の一部の都市のみのようだ。

検索方法は周辺施設/キーワード/TVスポット/住所/駅の4通り。電話番号検索は無く、住所は○丁目レベルまでと、シンプルなものだ。周辺施設では、駅・交通機関/金融機関/宿泊/ファストフード/ファミリーレストラン/コンビニ/ガソリンスタンドの7ジャンルの周辺検索ができる。クルマ用として考えると、駐車場が無いのが惜しい。

ルートは、有料道利用/有料道回避/徒歩・自転車の3条件で探索できる。ルート探索もオンライン。サーバーのコンピュータを使うので、すばやいルート探索が可能だ。有料道利用/有料道回避/徒歩・自転車の切換はルート探索後の地図の上のボタンで切り替えられる。


道案内は同社の携帯電話向けナビ「MapFanナビークル」同様、曲がる方向を先々まで教えてくれるラリービューを画面右に表示。主要交差点では方面看板やレーン案内も画面に表示する。また音声も聞き取りやすいものだ。測位はGPSだけで行うため、高速道路の高架下など、GPSからの信号を受けにくい場所ではそれなりの精度だが、実用に問題はない。

住所や電話番号を頼りに出かけることが多い仕事に使うのには向かないが、レジャーユースなら十分に役立つし、旅先での食事にはTVスポット検索が便利。またPNDを徒歩ナビとして使うのには気が引けるという人でもiPhoneならばまったく恥ずかしさがない。という意味では、PNDの代わりにiPhone+「MapFan for iPhone」は大いにありだと思う。
さて、この「MapFan for iPhone」は有料で2,300円。地図ビューワーとしてなら、1度購入すれば継続利用できるが、TVスポットやルート探索といったオンラインの機能は購入から1年を過ぎれば使えなくなるので、年2,300円と考えればいい。これを高いと思うかは人それぞれだが、携帯電話向けの「MapFanナビークル」が月350円ということを考えれば、むしろ安いと思う。そのぶん、渋滞情報を取得できないのは残念だが、魅力的なアプリであることは間違いない。
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・インクリメントP
調べて試聴して悩んで分かった、10cmスピーカーの魅力
20:46 すっかりご無沙汰してしまったCar AV Reviewへの寄稿だが、今年は積極的に活動していこうと思う。まずは昨年夏から色々と仕込み続けている、スピーカーについての話をしよう。
155tsの製品チョイスで発見した、10cmスピーカーの秀作。
我が155tsのダッシュボードには、現在JBLの10cm同軸ユニット、P462が収まっている。よく聴く音楽とのマッチングや試聴した際の音質的な好み、そしてちょいふるイタ車ならではの騒音レベルの高さから、最終的にはこのJBLをチョイスしたのだが、その話は別の機会に書かせていただくとして、10cmスピーカーも意外に捨てがたいな、と感じたのは事実だ。

フォーカルらしさがしっかりと感じられる、100KRS

まずフォーカル100KRSは、10cmスピーカー=純正交換品=エントリーモデルという図式が成り立ってしまっている現状において、数少ない「上級モデル」と呼べる製品。そのため採用する素材やユニットの構造にもかなりのこだわりがあり、ウーファーはK2 POWERシリーズの代名詞というべきケブラーコーンにネオジウムマグネットを組み合わせ、トゥイーターは振動板素材をチタンからケブラーに変更した新開発の逆ドーム“TNKツィーター”を採用。そのレイアウトも一般的に多い同軸タイプではなく、トゥイーターとウーファーが分離したセパレートタイプとなっている。付属するパッシブネットワークは、当然のごとく音質を重視した本格的なもの。ちなみにパッシブネットワークが付属しない100KRS J-Activeという製品も、日本専用モデルとして用意されている。

フォーカル100KRSを試聴して最初に驚いたのは、そのサウンド傾向が、他の口径違いK2 POWERシリーズと「まったく同じ」ことだ。当たり前と思うかもしれないが、一般的には口径が違うと同じシリーズでもキャラクターが多少変化してしまうことがある。そういったブレがほとんどない、K2 POWERシリーズならではの良さをしっかり感じさせてくれるのが、100KRS最大のメリットといえるだろう。


ただし低域方向への諦めが少々早過ぎるため、曲によっては3ウェイをミッドベースなしで聴いているようなバランスになってしまう時がある。その分中域の密度感は16cm 2ウェイよりも遙かに高いのだが、これ単体でシステムを完結させるには多少無理があるかも。素直にミッドベースを追加するか、もしくは良質なパワードサブウーファーが欲しいところだ。ただ、パワードサブウーファーをチョイスする場合は、この良質な中高域に見合った製品を選び出さなければならないため、ウェルバランスに至までは結構苦労しそう。上級モデルならではの、ある意味喜ばしい、手の抜けない付き合いとなりそうだ。
とにかく、良質で魅力的な中高域を持ち合わせることは強調できる。10cm 2ウェイでも音質的な妥協はいっさいしたくない、上級システムを構築したいという人に勧めたい製品だ。
優等生で万能、ボストン・アコースティックスS45

いっぽうのボストンS45は、同軸タイプのいわゆるエントリーモデル。EURO DIN規格に対応したトレードインタイプで、ダッシュボードなどに10cmスピーカーが配置された欧米車などには、比較的簡単に取り付けできそう(ただし奥行きが50mmあるため車種によっては装着時にアウターバッフルを必要になるかも)。価格も14490円と、純正交換品としても候補に挙げられそうな手軽さを持ち合わせている。
外観は、コスト面の縛りもあってかあまり化粧されてはおらず、どちらかといえば質実剛健タイプ。とはいえユニークなデザインのトゥイーターガイド(イコライザーの役目も果たしていそう)などにボストンらしいアイデンティティを感じるし、大型マグネットの採用などから音質に対するこだわりも垣間見られる。
さて、実際のサウンドはというと、これが拍子抜けするくらい見事なウェルバランスっぷり。偏見はいけないと思いつつ、口径サイズから低域に関してはそれほど期待していなかったのだが、量感も最低域までの延びも必要充分。まるでワンサイズ上のスピーカーでも聴いているのように、帯域バランスがよい。小口径ユニット特有のこぢんまり感からはかけ離れた、ごく自然なサウンドを楽しませてくれる。

いっぽうの音色はというと、こちらはナチュラル派と呼びたくなるようなキャラクター。特定の楽器をフォーカスするでもなく、音源そのままを素直に再生してくれる。温度感がそれほど高くない代わりに、苦手な音楽ジャンルもない、オールラウンダーといった印象だ。
まあ弱点を上げるとすれば、解像度の粗さくらいだろうか。特にトゥイーター帯域で、音楽の細かい部分まで再現できず、空間表現も甘いところが見られる。とはいえ、価格を考えれば充分以上。ジャンルを選ばない優等性っぷりや、使い方によってはサブウーファーなしでも完結できるバランスの良さなど、魅力は多々ある。初心者にもセカンドカーにも広くお勧めできる、使い勝手の良い製品といえるだろう。
このように、10cmスピーカーにも良質な製品はいくつかある。けれども、現在主流の16~17cmセパレート2ウェイに比べれば、圧倒的に製品数が少ないのも事実。今回紹介したものを含めて、お気に入りの製品と出会えればよいが、もしそううまくはいかなかったら、パワードサブウーファーとの併用や3ウェイ化など、様々な可能性を含めシステムプランを検討してみよう。
速報! ブラックスの最上級アンプ、MATRIX X4
11:44
ドイツの高級カーオーディオメーカー「BRAX(ブラックス)」が発売した最上級アンプ「MATRIX X4」が、国内で最初に茨城・守谷市のカーオーディオ・プロショップ「クァンタム」にディスプレイされたというので、さっそく聴きに行ってみた。

デモボードに展示されたMATRIX X4はブラックモデルで価格は577,500円。平らな表面は幅&奥行きともに33cmの正方形で、何か見慣れたデザインだなと思っていたら、ちょうど横にディスプレイされていたカロッツェリアXのデジタルプロセッサー、RS-P90Xに似ている。RS-P90Xをご存じの人なら、あれを130〜140%拡大したものを想像してもらえば、イメージがつかめると思う。ちなみに高さは74mm。そのため、けっこう存在感がある。
定格出力280W×4の4chアンプで、1Ωの低インピーダンス駆動にも対応。6個の異なる電源部を持ち、ソフトウェアによって総合的にパワーアンプ部を制御することで、スピーカーのインピーダンスが異なっても同じ出力を維持するよう動作させるという。動作領域はAB級だが、アイドリングで約7Aの電流が流れるというから、A級動作に近いAB級なのだろう。そのため、アンプ表面はかなり熱くなる。
端子類は、電源系の反対側にライン/スピーカー系がある。取扱説明書に載っている内部回路構成を見ると、電源端子がある側の約半分が電源系の回路で、残りの約半分が信号系回路。信号系は左右にきっちりと分かれていて、とても美しいシンメトリックレイアウトだ。RCA入力端子の横には、4ch独立の入力ゲイン調整つまみがあり、その上にはミニDINのコネクターがある。これはバランス入力の端子。ということは、いずれヘッドユニットから信号をバランス伝送するためのアダプターとか、間に挟み込むプロセッサー等を発売するつもりなのだろうということが想像できる。
さて、気になるその音だが、以前のBRAXアンプの音とは正反対。優しく柔らかい音だ。50万円超の超高級アンプだけあって解像度は高く、細かい音までしっかりと再現するあたりはさすが。デモボードには様々なスピーカーがあったので、いろんなスピーカーと組み合わせて聞いてみたが、もっともしっくりきたのはディナウディオのESOTAR2。とくにバイオリン等の弦楽器の響きの生々しさは、この組み合わせならではの音だろう。
逆にロック系だと、エネルギー感に物足りなさを感じることも。その辺を輸入元のエムズラインに訊いてみたら「電源で改善できると思う」とのこと。というのも、ドイツ本国のメーカー側では「アンプのポテンシャルを出すなら、電源ケーブルは2ゲージ。パワースタビライザー(キャパシタ)も追加してくれ」と話していたとか。電源端子の横には、パワースタビライザーを接続するための専用端子も備えている。そのへんの確認も含めて、後日、もう一度借り出して、じっくり試聴してみたいと思う。また、いち早く自分の耳で聞いてみたい人は、クァンタムへどうぞ。

デモボードに展示されたMATRIX X4はブラックモデルで価格は577,500円。平らな表面は幅&奥行きともに33cmの正方形で、何か見慣れたデザインだなと思っていたら、ちょうど横にディスプレイされていたカロッツェリアXのデジタルプロセッサー、RS-P90Xに似ている。RS-P90Xをご存じの人なら、あれを130〜140%拡大したものを想像してもらえば、イメージがつかめると思う。ちなみに高さは74mm。そのため、けっこう存在感がある。
定格出力280W×4の4chアンプで、1Ωの低インピーダンス駆動にも対応。6個の異なる電源部を持ち、ソフトウェアによって総合的にパワーアンプ部を制御することで、スピーカーのインピーダンスが異なっても同じ出力を維持するよう動作させるという。動作領域はAB級だが、アイドリングで約7Aの電流が流れるというから、A級動作に近いAB級なのだろう。そのため、アンプ表面はかなり熱くなる。

さて、気になるその音だが、以前のBRAXアンプの音とは正反対。優しく柔らかい音だ。50万円超の超高級アンプだけあって解像度は高く、細かい音までしっかりと再現するあたりはさすが。デモボードには様々なスピーカーがあったので、いろんなスピーカーと組み合わせて聞いてみたが、もっともしっくりきたのはディナウディオのESOTAR2。とくにバイオリン等の弦楽器の響きの生々しさは、この組み合わせならではの音だろう。

カロッツェリアDEH-P01を聴いた!
11:24
「かっこいいじゃん」。カロッツェリアの新しいCDメインユニット、DEH-P01を初めて見た印象だ。フロントフェイスの左右両端にロータリーダイヤルを配置したデザインはカロッツェリアXやDEH-P930&P940にも共通しているが、全面をアクリルでカバーしたディスプレイ面がフラットでエッジがシャープ、ボリューム等の突起がけっこう大きいあたりは、ちょっとクラシカルな雰囲気も漂っている。

DEH-P930の内蔵アンプと同じパワーICなのになぜ? と思っていたら、アンプ設計者の顔を見てある程度納得できた。評判のいいPRS-A900の開発に参加し、音質向上のキーマンとなった若手エンジニアが開発を担当していたのだ。また、音決めにもカロッツェリアXの開発を担当した若手エンジニアが参加するなど、各部署のスペシャリストが、このDEH-P01の開発に関わっているという。
次に、付属アンプを外部アンプに換えて、DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01Ⅱの音と聞き比べてみる。DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01ⅡがカロッツェリアXと同傾向の生真面目な優等生の音とすれば、DEH-P01はまるっきり傾向が違う。育ちはいいけど、ちょっとやんちゃな子というイメージ。低域が力強く、全帯域にわたってエネルギッシュ。ヴォーカルをはじめ、それぞれの音像がぐいぐい前に出てくる感じの音だ。それでも元々の育ちがいいので、下品な音にはならないところがカロッツェリアらしいところ。元気がいい音というと、荒い音ととらえられがちだが、DEH-P01はけっしてそうではない。
どちらがいいかといわれると、音の傾向がまったく違うので好みの問題としかいいようがない。クオリティ的には同等といってもいいだろう。また、車載状態において差が出るとしたら、DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01ⅡがCDトランスポート〜デジタルプロセッサー間が光デジタル伝送なのに対して、DEH-P01はデッキからパワーアンプまでライン接続であること。そのため、ノイズ対策等、ワイヤリングには気をつかわなくてはならない。逆にいうと、ケーブルによる音のチューニングを楽しめるということでもある。ともあれDEH-P01は半分の10万円。それで合計20万円のDEX-P01Ⅱ+DEQ-P01Ⅱと対等に張り合える音なのだから、コストパフォーマンスが抜群に高い事は間違いない。
しかも、ファイル形式はMP3/AAC/WMAの圧縮音源だけではなく、非圧縮のWAVにも対応。音質を最優先するなら非圧縮のWAVでiTunesに取り込めばいいし、多少、音質を犠牲にしても曲数が多いほうがよければ、MP3などの圧縮フォーマットを利用すればいい。音質を犠牲にといっても、ビットレートを高めてリッピングしておけば、圧縮か非圧縮かは気づかない程度の違いだったので、クルマの中では圧縮音源でも問題ないだろう。
またiPodコントロールモードを採用していて、これがすごく便利。とくにiPod touchやiPhoneのユーザーなら、iPod touch/iPhoneで、選曲等をタッチパネルコントロールできるから、使い勝手はものすごくいい。しかも、iPodコントロールモードでiPodのビデオを再生すれば、音楽はDEH-P01に接続したスピーカーから流れて、ビデ映像はiPod touch/iPhoneのディスプレイに映るという裏ワザも使えるのがいい。
ハイエンドカーオーディオというと、これまでは少なく見積もっても50万円以上の出費を必要としていたが、DEH-P01のおかげでひとまずDEH-P01+スピーカー=20万円台の予算で構築できる。そして予算ができたらアンプの交換、サブウーファーの追加など、徐々にグレードアップしていく楽しみもある。
普通に考えたらカーオーディオのデッキだけに10万円は高いと感じるだろう。しかし、最初はデッキ+スピーカー込みで10万円程度のシステムを組み、結局、音が気に入らなくてワンランク上のシステムに組み替えたという人を何人も見てるし、デッキ+スピーカー込みで10万円クラスでは、うまくシステムアップしても限界はある。それならば、初期投資を多少奮発しても、DEH-P01のような長く使えるデッキを導入しておくことをおすすめしたい。そのほうが、のちのちの満足度、幸福度は高いと思う。
【関連リンク】
・カロッツェリア

コンパクトな付属アンプの実力は?
早速、音を出してみる。まずはDEH-P01の付属アンプを使った音と、DEH-P930の内蔵アンプで鳴らした音の比較。DEH-P930も、その前のDEH-P910と比べると音が強く太くなったのだが、DEH-P01と比べると、ちょっと音がやせておとなしく聞こえてしまう。それほどDEH-P01の音は元気でエネルギッシュだ。しかも、音の透明感も良く、エネルギッシュなだけではなく繊細さも持ち合わせている。内蔵アンプと同じパワーMOS FETアンプなのだが、アンプ部分をデッキとは切り離して別の筐体に入れたのに同時に、電源部を強化したのが功を奏しているのだろう。中途半端に安いパワーアンプを使うくらいなら、これで十分と思わせるクオリティだ。
次に、付属アンプを外部アンプに換えて、DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01Ⅱの音と聞き比べてみる。DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01ⅡがカロッツェリアXと同傾向の生真面目な優等生の音とすれば、DEH-P01はまるっきり傾向が違う。育ちはいいけど、ちょっとやんちゃな子というイメージ。低域が力強く、全帯域にわたってエネルギッシュ。ヴォーカルをはじめ、それぞれの音像がぐいぐい前に出てくる感じの音だ。それでも元々の育ちがいいので、下品な音にはならないところがカロッツェリアらしいところ。元気がいい音というと、荒い音ととらえられがちだが、DEH-P01はけっしてそうではない。
どちらがいいかといわれると、音の傾向がまったく違うので好みの問題としかいいようがない。クオリティ的には同等といってもいいだろう。また、車載状態において差が出るとしたら、DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01ⅡがCDトランスポート〜デジタルプロセッサー間が光デジタル伝送なのに対して、DEH-P01はデッキからパワーアンプまでライン接続であること。そのため、ノイズ対策等、ワイヤリングには気をつかわなくてはならない。逆にいうと、ケーブルによる音のチューニングを楽しめるということでもある。ともあれDEH-P01は半分の10万円。それで合計20万円のDEX-P01Ⅱ+DEQ-P01Ⅱと対等に張り合える音なのだから、コストパフォーマンスが抜群に高い事は間違いない。
USB装備でiPodもいい音で楽しめる!
加えてDEH-P01は、USBを装備しているという強みを持っている。つまり、iPodの音楽もいい音で楽しめるのだ。しかもiPod〜DEH-P01間はデジタルでデータを伝送し、DEH-P01内のD/Aコンバーターでアナログ信号に変換する方式。この音と、IP-BUSを使ってiPod〜DEH-P01をアナログ伝送した音とを聞き比べてみたが、音の鮮度、クリアさ、レンジ感など、どれをとっても比較にならないほどデジタル伝送のほうが音がいい。しかも、ファイル形式はMP3/AAC/WMAの圧縮音源だけではなく、非圧縮のWAVにも対応。音質を最優先するなら非圧縮のWAVでiTunesに取り込めばいいし、多少、音質を犠牲にしても曲数が多いほうがよければ、MP3などの圧縮フォーマットを利用すればいい。音質を犠牲にといっても、ビットレートを高めてリッピングしておけば、圧縮か非圧縮かは気づかない程度の違いだったので、クルマの中では圧縮音源でも問題ないだろう。
またiPodコントロールモードを採用していて、これがすごく便利。とくにiPod touchやiPhoneのユーザーなら、iPod touch/iPhoneで、選曲等をタッチパネルコントロールできるから、使い勝手はものすごくいい。しかも、iPodコントロールモードでiPodのビデオを再生すれば、音楽はDEH-P01に接続したスピーカーから流れて、ビデ映像はiPod touch/iPhoneのディスプレイに映るという裏ワザも使えるのがいい。
ハイエンドカーオーディオというと、これまでは少なく見積もっても50万円以上の出費を必要としていたが、DEH-P01のおかげでひとまずDEH-P01+スピーカー=20万円台の予算で構築できる。そして予算ができたらアンプの交換、サブウーファーの追加など、徐々にグレードアップしていく楽しみもある。
普通に考えたらカーオーディオのデッキだけに10万円は高いと感じるだろう。しかし、最初はデッキ+スピーカー込みで10万円程度のシステムを組み、結局、音が気に入らなくてワンランク上のシステムに組み替えたという人を何人も見てるし、デッキ+スピーカー込みで10万円クラスでは、うまくシステムアップしても限界はある。それならば、初期投資を多少奮発しても、DEH-P01のような長く使えるデッキを導入しておくことをおすすめしたい。そのほうが、のちのちの満足度、幸福度は高いと思う。
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・カロッツェリア
ダイヤトーンDA-PX1を聴いた!
12:02
スピーカーはもちろんダイヤトーン。ウーファーは1組だが、トゥイーターは最上級のDS-SA1のボロン振動板のものと、DS-SA3のSRチタンのものが2種類組み込まれていて、スイッチで切り替えできるようになっている。
音源はUSBメモリー。サテライトユニットにUSBが2系統装備されていて、そこから車内にUSBケーブルが引き込まれている。その先にUSBメモリーを挿せば準備完了だ。再生可能なファイル形式は非圧縮リニアPCMのWAV、圧縮音源のMP3/WMA/AACの4種類だ。なお、iPodの再生には対応していない。

最高音質のWAVファイルを再生してみる。フロント2ウェイながら、低域も高域も再生レンジが伸びているし、低域の解像度も十分。密度感の高い音だ。なにより素晴らしいのは音場の立体感。ライヴ音源を聞くと、ホールの広さ、高さが感じられるし、ヴォーカルとドラムの前後関係など、奥行きもしっかりと表現する。そして音像のリアルなこと! オンマイクで録音した女性ヴォーカルなんかは、ゾクッとするほどの生々しい声だ。
この高音質をもたらしているのは、32bitアドバンスト・ピュアバリアブルカレントD/Aコンバーターやピュアデジタル・アイソレーター、メモリータイムコレクターなどの高音質D/A変換技術のおかげ。デジタル系のノイズをシャットアウトし、時間軸の揺らぎを低減し、32bit精度で情報の欠落なく原音に忠実に再現する。
パッシブクロスオーバーネットワーク使用でタイムアライメント調整が可能なマルチウェイタイムアライメントも違和感なし。リスニングポジションから各ユニットまでの距離を補正し、左右スピーカーから等距離のベストなポジションで聞いているような自然な音場だ。
またアジャスタブルFIRイコライザーは、調整がしやすいが音質面では難があるIIR方式の調整性の良さを、音質劣化が少ないFIR方式の高精度な演算が実現しようというもの。グラフィックイコライザーだから調整がしやすく、音の鮮度は犠牲にしていないのがすごい。
80万円というとカーオーディオでは超ハイエンドモデルだが、この機器がホームオーディオだとおそらくもっと高額になると思われる。またカーオーディオのハイエンド機器と比べてみても、マルチアンプにせずにすむぶんだけ、システム総額ではコストを抑えられるのではないか。クルマのなかでとことん高音質にこだわるなら、機器選びの候補に入れたい1台である。