ダイヤトーンDA-PX1を聴いた!

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ダイヤトーンが08年末に発表したデジタルプロセスセンター、DA-PX1(800,000円)はメインユニット/サテライトユニット/ディスプレイユニット/リモコンの4点構成。メインユニットはトランクに設置し、サテライトユニットはグローブボックスの中。ディスプレイユニットはダッシュボードの、おそらく灰皿だった場所に埋め込んでいる。

スピーカーはもちろんダイヤトーン。ウーファーは1組だが、トゥイーターは最上級のDS-SA1のボロン振動板のものと、DS-SA3のSRチタンのものが2種類組み込まれていて、スイッチで切り替えできるようになっている。

音源はUSBメモリー。サテライトユニットにUSBが2系統装備されていて、そこから車内にUSBケーブルが引き込まれている。その先にUSBメモリーを挿せば準備完了だ。再生可能なファイル形式は非圧縮リニアPCMのWAV、圧縮音源のMP3/WMA/AACの4種類だ。なお、iPodの再生には対応していない。




最高音質のWAVファイルを再生してみる。フロント2ウェイながら、低域も高域も再生レンジが伸びているし、低域の解像度も十分。密度感の高い音だ。なにより素晴らしいのは音場の立体感。ライヴ音源を聞くと、ホールの広さ、高さが感じられるし、ヴォーカルとドラムの前後関係など、奥行きもしっかりと表現する。そして音像のリアルなこと! オンマイクで録音した女性ヴォーカルなんかは、ゾクッとするほどの生々しい声だ。

この高音質をもたらしているのは、32bitアドバンスト・ピュアバリアブルカレントD/Aコンバーターやピュアデジタル・アイソレーター、メモリータイムコレクターなどの高音質D/A変換技術のおかげ。デジタル系のノイズをシャットアウトし、時間軸の揺らぎを低減し、32bit精度で情報の欠落なく原音に忠実に再現する。



パッシブクロスオーバーネットワーク使用でタイムアライメント調整が可能なマルチウェイタイムアライメントも違和感なし。リスニングポジションから各ユニットまでの距離を補正し、左右スピーカーから等距離のベストなポジションで聞いているような自然な音場だ。

またアジャスタブルFIRイコライザーは、調整がしやすいが音質面では難があるIIR方式の調整性の良さを、音質劣化が少ないFIR方式の高精度な演算が実現しようというもの。グラフィックイコライザーだから調整がしやすく、音の鮮度は犠牲にしていないのがすごい。

80万円というとカーオーディオでは超ハイエンドモデルだが、この機器がホームオーディオだとおそらくもっと高額になると思われる。またカーオーディオのハイエンド機器と比べてみても、マルチアンプにせずにすむぶんだけ、システム総額ではコストを抑えられるのではないか。クルマのなかでとことん高音質にこだわるなら、機器選びの候補に入れたい1台である。