カロッツェリアDEH-P01を聴いた!

「かっこいいじゃん」。カロッツェリアの新しいCDメインユニット、DEH-P01を初めて見た印象だ。フロントフェイスの左右両端にロータリーダイヤルを配置したデザインはカロッツェリアXやDEH-P930&P940にも共通しているが、全面をアクリルでカバーしたディスプレイ面がフラットでエッジがシャープ、ボリューム等の突起がけっこう大きいあたりは、ちょっとクラシカルな雰囲気も漂っている。

コンパクトな付属アンプの実力は?

早速、音を出してみる。まずはDEH-P01の付属アンプを使った音と、DEH-P930の内蔵アンプで鳴らした音の比較。DEH-P930も、その前のDEH-P910と比べると音が強く太くなったのだが、DEH-P01と比べると、ちょっと音がやせておとなしく聞こえてしまう。それほどDEH-P01の音は元気でエネルギッシュだ。しかも、音の透明感も良く、エネルギッシュなだけではなく繊細さも持ち合わせている。内蔵アンプと同じパワーMOS FETアンプなのだが、アンプ部分をデッキとは切り離して別の筐体に入れたのに同時に、電源部を強化したのが功を奏しているのだろう。中途半端に安いパワーアンプを使うくらいなら、これで十分と思わせるクオリティだ。

DEH-P930の内蔵アンプと同じパワーICなのになぜ? と思っていたら、アンプ設計者の顔を見てある程度納得できた。評判のいいPRS-A900の開発に参加し、音質向上のキーマンとなった若手エンジニアが開発を担当していたのだ。また、音決めにもカロッツェリアXの開発を担当した若手エンジニアが参加するなど、各部署のスペシャリストが、このDEH-P01の開発に関わっているという。

次に、付属アンプを外部アンプに換えて、DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01Ⅱの音と聞き比べてみる。DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01ⅡがカロッツェリアXと同傾向の生真面目な優等生の音とすれば、DEH-P01はまるっきり傾向が違う。育ちはいいけど、ちょっとやんちゃな子というイメージ。低域が力強く、全帯域にわたってエネルギッシュ。ヴォーカルをはじめ、それぞれの音像がぐいぐい前に出てくる感じの音だ。それでも元々の育ちがいいので、下品な音にはならないところがカロッツェリアらしいところ。元気がいい音というと、荒い音ととらえられがちだが、DEH-P01はけっしてそうではない。

どちらがいいかといわれると、音の傾向がまったく違うので好みの問題としかいいようがない。クオリティ的には同等といってもいいだろう。また、車載状態において差が出るとしたら、DEX-P01Ⅱ+DEQ-P01ⅡがCDトランスポート〜デジタルプロセッサー間が光デジタル伝送なのに対して、DEH-P01はデッキからパワーアンプまでライン接続であること。そのため、ノイズ対策等、ワイヤリングには気をつかわなくてはならない。逆にいうと、ケーブルによる音のチューニングを楽しめるということでもある。ともあれDEH-P01は半分の10万円。それで合計20万円のDEX-P01Ⅱ+DEQ-P01Ⅱと対等に張り合える音なのだから、コストパフォーマンスが抜群に高い事は間違いない。

USB装備でiPodもいい音で楽しめる!

加えてDEH-P01は、USBを装備しているという強みを持っている。つまり、iPodの音楽もいい音で楽しめるのだ。しかもiPod〜DEH-P01間はデジタルでデータを伝送し、DEH-P01内のD/Aコンバーターでアナログ信号に変換する方式。この音と、IP-BUSを使ってiPod〜DEH-P01をアナログ伝送した音とを聞き比べてみたが、音の鮮度、クリアさ、レンジ感など、どれをとっても比較にならないほどデジタル伝送のほうが音がいい。

しかも、ファイル形式はMP3/AAC/WMAの圧縮音源だけではなく、非圧縮のWAVにも対応。音質を最優先するなら非圧縮のWAVでiTunesに取り込めばいいし、多少、音質を犠牲にしても曲数が多いほうがよければ、MP3などの圧縮フォーマットを利用すればいい。音質を犠牲にといっても、ビットレートを高めてリッピングしておけば、圧縮か非圧縮かは気づかない程度の違いだったので、クルマの中では圧縮音源でも問題ないだろう。

またiPodコントロールモードを採用していて、これがすごく便利。とくにiPod touchやiPhoneのユーザーなら、iPod touch/iPhoneで、選曲等をタッチパネルコントロールできるから、使い勝手はものすごくいい。しかも、iPodコントロールモードでiPodのビデオを再生すれば、音楽はDEH-P01に接続したスピーカーから流れて、ビデ映像はiPod touch/iPhoneのディスプレイに映るという裏ワザも使えるのがいい。

ハイエンドカーオーディオというと、これまでは少なく見積もっても50万円以上の出費を必要としていたが、DEH-P01のおかげでひとまずDEH-P01+スピーカー=20万円台の予算で構築できる。そして予算ができたらアンプの交換、サブウーファーの追加など、徐々にグレードアップしていく楽しみもある。

普通に考えたらカーオーディオのデッキだけに10万円は高いと感じるだろう。しかし、最初はデッキ+スピーカー込みで10万円程度のシステムを組み、結局、音が気に入らなくてワンランク上のシステムに組み替えたという人を何人も見てるし、デッキ+スピーカー込みで10万円クラスでは、うまくシステムアップしても限界はある。それならば、初期投資を多少奮発しても、DEH-P01のような長く使えるデッキを導入しておくことをおすすめしたい。そのほうが、のちのちの満足度、幸福度は高いと思う。

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