ドイツの高級カーオーディオメーカー「BRAX(ブラックス)」が発売した最上級アンプ「MATRIX X4」が、国内で最初に茨城・守谷市のカーオーディオ・プロショップ「クァンタム」にディスプレイされたというので、さっそく聴きに行ってみた。
デモボードに展示されたMATRIX X4はブラックモデルで価格は577,500円。平らな表面は幅&奥行きともに33cmの正方形で、何か見慣れたデザインだなと思っていたら、ちょうど横にディスプレイされていたカロッツェリアXのデジタルプロセッサー、RS-P90Xに似ている。RS-P90Xをご存じの人なら、あれを130〜140%拡大したものを想像してもらえば、イメージがつかめると思う。ちなみに高さは74mm。そのため、けっこう存在感がある。
定格出力280W×4の4chアンプで、1Ωの低インピーダンス駆動にも対応。6個の異なる電源部を持ち、ソフトウェアによって総合的にパワーアンプ部を制御することで、スピーカーのインピーダンスが異なっても同じ出力を維持するよう動作させるという。動作領域はAB級だが、アイドリングで約7Aの電流が流れるというから、A級動作に近いAB級なのだろう。そのため、アンプ表面はかなり熱くなる。
端子類は、電源系の反対側にライン/スピーカー系がある。取扱説明書に載っている内部回路構成を見ると、電源端子がある側の約半分が電源系の回路で、残りの約半分が信号系回路。信号系は左右にきっちりと分かれていて、とても美しいシンメトリックレイアウトだ。RCA入力端子の横には、4ch独立の入力ゲイン調整つまみがあり、その上にはミニDINのコネクターがある。これはバランス入力の端子。ということは、いずれヘッドユニットから信号をバランス伝送するためのアダプターとか、間に挟み込むプロセッサー等を発売するつもりなのだろうということが想像できる。
さて、気になるその音だが、以前のBRAXアンプの音とは正反対。優しく柔らかい音だ。50万円超の超高級アンプだけあって解像度は高く、細かい音までしっかりと再現するあたりはさすが。デモボードには様々なスピーカーがあったので、いろんなスピーカーと組み合わせて聞いてみたが、もっともしっくりきたのはディナウディオのESOTAR2。とくにバイオリン等の弦楽器の響きの生々しさは、この組み合わせならではの音だろう。
逆にロック系だと、エネルギー感に物足りなさを感じることも。その辺を輸入元のエムズラインに訊いてみたら「電源で改善できると思う」とのこと。というのも、ドイツ本国のメーカー側では「アンプのポテンシャルを出すなら、電源ケーブルは2ゲージ。パワースタビライザー(キャパシタ)も追加してくれ」と話していたとか。電源端子の横には、パワースタビライザーを接続するための専用端子も備えている。そのへんの確認も含めて、後日、もう一度借り出して、じっくり試聴してみたいと思う。また、いち早く自分の耳で聞いてみたい人は、クァンタムへどうぞ。