速攻レビュー! スマホ用ドコモドライブネット

ラベル: ,
NTTドコモとパイオニアが共同で開発してきたスマートフォン用のドライバー向け情報提供サービス「ドコモドライブネット」が、4月21日からサービスを開始したので、さっそく試してみた。(2011/4/22)


このサービス、アプリ自体は無料で、アプリをダウンロードすれば地図&現在地表示、周辺施設検索といった機能は、このままで使える。カーナビとしての機能が使えるのは、月額315円のドコモドライブネットのスマートフォン向け有料サービスを契約したとき。これで、ルート探索やルート案内といったカーナビの基本機能が使えるようになるほか、駐車場の満空情報やガソリンスタンドの価格情報といったリアルタイム情報が手に入るようになる。

SPX-SC01
さらにカロッツェリアが販売するスマートフォンリンク・ナビクレイドル、SPX-SC01(15,750円)にセットして使えば、クレイドル内蔵の各種センサーを利用するので自車位置の測位精度が飛躍的に向上するし、スマートループ渋滞情報も利用できるようになる。今回、試して見たのはこの状態。ドコモドライブネットアプリをインストールしたソニーエリクソンのドコモ・スマートフォン「XPERIA」SO-01Bをナビクレイドルにセットして使ってみた。

結論から先にいうと「カーナビとして十分に使える」である。iPhone用ナビアプリはたまに利用しているが、やはり測位性能はそれなり。空が開けた場所では動作するので、ほとんど問題はないのだが、トンネルの中などGPSの電波が届かない場所では自車マークが止まってしまうので、たとえば首都高のトンネル内の分岐など、肝心なところで案内をしてくれないこともある。ここが、できのいいPNDとの違いで、スマートフォンのナビアプリではかなわない部分でもあった。ところが、ドコモドライブネット+ナビクレイドルは、トンネル内でも案内が途切れないのだ。

トンネル内でもある程度正確
試しに首都高中央環状線の西池袋から山手トンネルに入り、大橋ジャンクション方面に向かってみた。GPSの電波が途切れても、自車マークはスムースに動いている。またカーブなどの道路形状とクルマの動きとを照らし合わせてマップマッチングを図っているようで、途中で距離感のズレがあっても、何度か自車位置を修正しながら、ある程度正確な場所を示してくれる。途中、オービスがあるのだが、オービス地点もけたたましいチャイムで教えてくれるし、合流や分岐も案内してくれるので安心だ。このコースは各社PNDでも試しているが、測位性能の高いPNDと同等のレベルといっていいだろう。

ドライブネットのメニュー画面
検索機能は通信によってリアルタイムの情報を探せるのがいい。iPhoneのアプリでもGS情報などは入手できるのだが、ナビアプリと連動していないため、別アプリを立ち上げて探すということになる。その点、ドコモドライブネットは、ナビアプリ上で検索から目的地設定まで一連の操作ができるのでスムース。現在地の近くにあるグルメスポットやテレビで紹介されたことがあるスポットを探すのも簡単だし、詳細な情報を得たい場合は、簡単にそのスポットのホームページに飛ぶこともできる。電話番号検索、住所検索など通常の検索機能も、必要にして十分だ。
近くのガソリンスタンドを価格情報付で探せる
側道案内がでることも
道案内は、曲がる交差点に近づいたときに、自動的に地図全体がズームアップするタイプ。画面表示は、都市高速入り口のイラスト案内や分岐案内、一般道の立体交差の側道案内などがあるが、一般的なPNDよりは、画面案内のバリエーションは少ない。それでも、音声案内があるし、自車位置が正確なので、道を間違えることはないだろう。とくに、交差点の直前で「右です」という具合に音声で教えてくれるジャスト案内があるので、安心感がある。また、このクラスの画面サイズだと、交差点拡大図を表示するよりも、オートズームのほうがわかりやすいとも感じる。
交差点に近づくにつれて地図が自動的にズームアップ。レーン情報も表示
渋滞情報が文字でポップアップ
スマートループの情報も、都内など渋滞が多いエリアで使うには、とても役に立つ。スマートループとは、スマートループ利用車からの生の走行情報を通信によってサーバーに吸い上げ、これまで蓄積してきたデータやVICS情報加味して、スマートループ利用車に渋滞情報を提供するもの。ドコモドライブネット+ナビクレイドルでは、走行中、ルート上に渋滞箇所が発生すると、画面上に「○キロメートル先、渋滞が発生しています。通過に○分かかります」といった表示があるし、渋滞を考慮して、より早く目的地に到着するルートを探す、渋滞考慮オートリルートも行う。

また、このスマートループの渋滞情報は、地図上で渋滞や混雑、順調の確認もできるのだが、実は被災地で通行実績があった道路の確認にも使える。つまり、被災地で渋滞や混雑、順調の表示が出ている道路は、スマートループ利用車から情報がアップロードされたわけだから、通行できる可能性が高いということだ。それを行うために、スマートループは、震災以前の蓄積データの利用を止め、現在は震災以降のデータで運用しているという。
道路横の破線がスマートループ情報。赤が渋滞、青が順調
話は少しずれたが、リルートもすばやく、曲がり角を間違えたとしても、次に曲がるべき地点に着く前に、新たなルートを提示し直すあたりは、できの悪いPNDよりもよっぽど優れている。PNDと比べると、画面の大きさや月々315円の料金といったあたりがネックだが、それが納得できるなら、もはやPNDは不要といってもいいと思う。それほど、カーナビとして、十分に使えると思う。

もちろん、改善してもらいたい点もいくつかある。まずクレイドルの吸盤。最近のPNDはゲル付吸盤を採用した吸盤が多く、シボ入りのダッシュボードでも吸着できるのだが、SPX-SC01の吸盤をダッシュボード上に貼り付けるにはプレートが必要。常に同じクルマで利用するなら、プレートを貼ったままでもいいかもしれないが、不要な時はクレイドルを外しておくような場合、ダッシュボード上にプレートだけが残るのは、ちょっとかっこ悪い。

縦向きでも使えるが、配線がちょっと気になる
また配線も気になる。クレイドル〜スマートフォン間のUSBケーブルにしても、さまざまなスマートフォンに対応するためにある程度の長さが必要なのはわかるが、もう少しスマートな方法を考えてもらいたいところだ。スマートフォンを挟み込む部分にしても、もう少しスマートな形にできなかったのか。カーナビとしての性能が十分なだけに、このあたりが悔やまれる。なお、クレイドルの台座の部分には穴が空いていて、ここからクレイドル〜スマートフォン間のUSBケーブルを差し込める仕様になっている。USB端子がスマートフォンの底面にあっても、クレイドルにセットできるという配慮だろう。ちなみに、現在対応しているスマートフォンは、XPERIA SO-01B、XPERIA ARC SO-01C、MEDIAS N-04Cの3機種のみ。対応機種は、順次拡大していく予定だという。

機能的な部分では、1発で地図表示に戻るボタンが欲しいこと。もしかしてあるのかもしれないが、取り扱い説明書もない状態で、使用中に探すことはできなかった。また音声案内が、途中で途切れるのも気になった部分。試したのが最終テスト版だったので、実際にユーザーに提供されるものは、修正されているのかもしれないし、途切れたところで実際の案内には影響ないのだが、走行中、何度か気になった部分ではある。

ともあれ、スマートフォン用のカーナビアプリ+ナビクレイドルで、カーナビとしての性能がこれだけ高くなると、PNDがますます不要になるのでは? と心配になってくる。それだけ、出来はいい。なお、ドコモドライブネットは、2011年6月30日まで、月額使用料が最大3ヶ月無料になるキャンペーンを実施中だ。



いいね!