オーディソン「THESIS」HV Venti(1,200,000円/税別)

温まって本領を発揮した時の音は極上



【プロフィール】
かつてはHR100という名機を世に出し、カーオーディオ好きの間では言わずと知れたイタリアの名門カーオーディオ・ブランドがオーディソンだ。そんなオーディソンの、現在のフラッグシップ・アンプがTHESIS HV venti。

正確な所ははっきり覚えていないが、このアンプが登場してから、もう10年ほど経ったか。それでも、まったく色褪せず、カーオーディオ・アンプの最高峰に君臨しているあたりは、さすがオーディソンである。

【インプレッション】
聴き始めてすぐは、まだ温まりが足りないためか、眠い感じの冴えない音だったが温まるにつれて徐々に本領発揮。試聴している間に、どんどん音が良くなっていくため、ついつい長く試聴してしまう。

音が安定したのは10分以上経ってからだろうか。その音は極上。ピアノの低音部は、本当に目の前でガーンと鍵盤を叩いたような迫力出し、ベースの音程も安定感あり。実際にライブ会場で音楽を聴いているような、音が身体をグイッと押してくる感じの音楽の伝え方をしてくれる。

だからといってエネルギーがあるだけで表現が雑なアンプとは違う。アコースティックギターの音色は、それまで聴いたなかで最もナイロン弦らしい自然な音だったし、ギターのボディをタップした音も木の響きがしっかりと伝わってくる。ドラムスも迫力満点。スネアのキレの良さ、バスドラムの空気感、シンバルの響きなど、どれも素晴らしい。

音像の立体感も秀逸。音場は左右も高さ方向も広く、その中に輪郭がはっきりした音像が明確に再現される。トランペットがマイクの前で首を振って吹いている感じもはっきりわかるし、とにかくリアルだ。

そのトランペットだが、キレが良く勢いがあり、ともすれば痛いくらいに耳に刺さってくる感じになりがち。ところが、HV Ventiにはそれがなく、とっても聴きやすい。音の立ちの良さと甘さが同居する音は、とっても魅力的。マルチウェイ・タイムアライメントにより、2chアンプでもトゥイーターとウーファーを個別にタイムアライメント調整可能なDIATONE SOUND.NAVIだから、シンプルに2chアンプでフロント2ウェイ・システムを鳴らすシステムもいいかもしれない。

【仕様】
■チャンネル:2チャンネル(1chあたり600,000円/税別)
■定格出力(ハイカレント時):200W×2(4Ω)/380W×2(2Ω)/650W×2(1Ω)/760W(4Ωブリッジ)/1300W(2Ωブリッジ)
■定格出力(ハイパワー時):400W×2(4Ω)/700W×2(2Ω)/1400W(4Ωブリッジ)
■全高調波歪率:0.03%以下
■SN比:110dB以上
■周波数特性:4Hz〜100kHz
■消費電流:-
■入力レベル:250mV〜7V RMS
■サイズ(幅×奥行×高さ):510×280×85mm
■質量:15.0Kg

オーディソンのサイト

アークオーディオ 4100SE-TRADのインプレッション
ブラックス NOX4のインプレッション
モスコニ GLADEN  class Aのインプレッション
オーディソン HV dueのインプレッション
ブラックス MX4のインプレッション
チェレストラ VA210のインプレッション
DLS TA2のインプレッション
オーディオウェーブ CR-200X JDMのインプレッション






Photo/伊倉道男