カロッツェリア RS-A09X(300,000円/税別)

カロッツェリアのイメージを覆す押しの強い低音が印象的




【プロフィール】
パイオニアの最高峰カーオーディオ「カロッツェリアX」用の2chパワーアンプ。4chのRS-A99Xと同じ筐体だが、中身に改良を加えて音質向上を図っている。コンセプトはデジタルプロセッサー内蔵アンプのRS-A9Xと同じ高スルーレート、高解像度、高分解能で、振動が音に与える影響を排除するべく、TVC技術で内部パーツに至るまで振動によるノイズ対策を徹底。各パーツの温度のばらつきによる音への影響も考慮し、温度管理にもこだわるなど、細かいところまで高音質に気を配った設計だ。カロッツェリアX誕生から20年のアニバーサリーモデルとして登場した、集大成ともいえるアンプだけに注目。税別で30万円だから、30万円オーバーで紹介しようとも思ったが、パッシブクロスオーバーネットワーク使用時の音はひとまずこちらで紹介。後日、マルチアンプ接続のインプレッションを伝える時にSA-DS1との組合せで再試聴しようと思う。

【インプレッション】
オーディオ機器には相性があるというが、これほど「相性ってあるんだな」と実感したことはない。カロッツェリアXのデッキ+デジタルプロセッサーを使い、カロッツェリアRSシリーズのスピーカーをこのアンプで鳴らした音はクルマでも試聴室でも何度も聴いたことがあるが、その印象とはまったく異なる。フルカロッツェリアの音は、解像度が抜群に高い上に、アスリートを思わせる低域から高域まで全域引き締まったストイックな音だが、DIATONE SOUND.NAVI+DS-SA3との組合せでは、一言でいうと低音過多。フルカロッツェリアではあれだけ引き締まっていた低音が、ちょっとふくらみがちに聴こえる。ものすごく押しの強い低音だ。

中低域に関しては、解像度の高さは群を抜いてきて、大きな音に埋もれて消えがちが小さい音、細かい音までひとつひとつの音を拾い出す。音場は左右方向、高さ方向とも広く、音像もフォーカスがビシッと合っている感じでヴォーカルや楽器の輪郭を描く。この辺りは、フルカロッツェリアで聴いた音とイメージは変わらない。またS/Nも、今回試聴したなかで、最も優れた部類。だから空間が静かで、音のひとつひとつがクリアに聴こえる。音色はクール。そのためか、演奏の熱気みたいなものは、あまり感じない傾向があり、音楽的な楽しさも伝わりにくい。このように、優等生すぎて音楽的な面白みには少し欠ける傾向にあるが、原音を忠実に再生するなら、これ以上のものはないと思う。

【仕様】
■チャンネル:2チャンネル
■定格出力:100W×2(4Ω)/150W×2(2Ω)/300W×1(4Ωブリッジ時)
■高調波歪率:0.004%(1kHz/-1W出力時)
■SN比:109dB(IHF-A network)
■周波数特性:10Hz〜100kHz(+0dB/-1dB)
■最大消費電流:24A(定格出力時/4Ω)、3A(無信号時)
■最大入力レベル:10V (スーパーハイボルテージモードON)/5V(スーパーハイボルテージモードOFF)
■サイズ(幅×奥行×高さ):360×258×63mm
■質量:8.3kg

カロッツェリア RS-A09Xのサイト

オーディソン  AV quattroのインプレッション
シンフォニ allegroのインプレッション
シンフォニ Soloのインプレッション
グランドゼロ GZ-GZPA Reference 4XSのインプレッション
チェレストラ VA250のインプレッション
モスコニ ZERO4のインプレッション