ライヴに近いサウンドが楽しめる超ハイエンドA級アンプ
【プロフィール】
ジンバブエに生まれてイングランドに移住したオーディオ・マニア、グラント・ヘイナン氏が2007年、ロンドンの東側の海沿いのリゾート地、サウスエンド・オン=シーに設立した新興カーオーディオ・メーカーがオーディオウェーブだ。現在のところ、ラインナップはパワーアンプのみ。220万円(税別)のステレオアンプ、CR-400JDMを筆頭に、超ハイエンドモデルをラインナップする。
試聴したAspire Proシリーズは同社のラインナップの中ではリーズナブルな価格帯に属する(とはいえ高価)もので、55万円(税別)のモノラルアンプから、110万円(税別)の4チャンネルアンプまで5モデル。その中で唯一、A級動作のアンプが、今回試聴したAspire Pro CAというモデルである。出力は4Ω時20W×2と大きくはないが常時16Aの電流が流れる大食いアンプはA級アンプらしい音を聞かせてくれる。
以前は、RSオーディオのスピーカーと組み合わせて試聴したインプレッションをお届けしているが、今回はDIATONE SOUND.NAVI+DS-G500との組み合わせ。前回、衝撃を受けただけに期待大である。
【インプレッション】
まず最初に断っておかなければいけないことがある。実は試聴時、バッテリーが結構弱ってきていて、短時間の試聴しかできなかった。また聴いているうちにどんどん電圧が低下していき、12Vを少し超えたところあたりでの試聴である。本来なら13V以上で聴きたいところであり、本来、このアンプが持つ実力よりは、多少落ちているかもしれない。
そんな状態にもかかわらず、Aspire Pro CAはとても魅力的な音を聴かせてくれた。まず、全体的に音が太く厚い。各楽器、声など、それぞれの音に実在感があるのがいい。太く厚いというと、付帯音が多くて膨らんだ音と思われるかもしれないが、そんなことはない。ピアノは早弾きでも一音一音がはっきりとしているし、それらの音ひとつひとつに重さがともなう。しかも、音の強弱がよくわかるから、音楽の抑揚表現が上手い。
またシンバルの音にしても、うるささがない。もちろんバシャーンというアタック音は強烈なのだが、その後に続く響きが美しく消え際まで繊細に続くので、うるさい感じがしないのだ。声も肉声的。マイクやスピーカーなどを通さない生の声に近い雰囲気がある。
全体的にはウォーム系のトーン。スペック上ではS/Nが100dBと突出して高い数値ではないが、聴感上のS/Nはもっと高い感じで、透明度の高い音だ。ウォームトーンといっても眠い音ではなく、音の立ち上がりは速い。速くて重くて厚くて温かい音。こんな音のアンプはなかなかない。
ひとことで言えば、ライヴに近い音が楽しめるアンプ。コンディションがそれほどよくなくても、これほどの音を聴かせてくれたのだから、バッテリーが万全な状態ならどうだったかと想像するとわくわくする。逆に、アイドリング状態でも常時16Aが流れるため、電気自動車やハイブリッド車はもちろん、充電制御車は厳しそうだし、なんらかの電源強化は必要だろうが、フロントスピーカーだけのシステムで、パッシブ・クロスオーバー・ネットワークを使用して2チャンネルアンプで鳴らすというシンプルなシステム構成に似合う。という意味では、パッシブ・ネットワーク仕様でもトゥイーターとウーファーを個別に遅延時間調整が可能なマルチウェイ・タイムアライメント機能搭載のDIATONE SOUND.NAVIとのマッチングは良いといえるのではないか。
【主なスペック】
●定格出力:45W×2(8Ω)/20W×2(4Ω)/10W×2(2Ω)●周波数特性:12Hz〜100kHz●SN比:100dB●サイズ:幅378×奥行339×高さ64mm
【関連リンク】
イースコーポレーション 055-991-5130
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