ハーツの最新アンプ、HDP4レビュー

オーディソン製品をプロデュースするイタリア・エレットロメディア社の、もう一つのカーオーディオ・ブランドがハーツ。先日、発表された新しいパワーアンプ「HDPシリーズ」の4チャンネルモデル、HDP4を聴いた。



ハーツHDPシリーズの4chアンプ、HDP4。5ch&モノラルアンプもあり
電源オンでロゴの周囲が光る
販売が終了したフラッグシップアンプ、HPシリーズにシリーズ名が似ているので、高額アンプと思いきや、新しいHDP4は、69,300円と、わりとリーズナブルな価格。デジタルアンプだから、ボディは拍子抜けするほどの小ささだ。幅284×奥行171×高さ47ミリは、ライバルになるであろうアルパインのPDX-F4よりも幅が27ミリ長いものの奥行きは21ミリ短く、高さも約4ミリ低い。容積にすると、PDX-F4より約10%近くコンパクトだから、取り付け場所の確保は、より容易といえる。それでいて出力は150W×4。これはPDX-F4(100W×4)よりも、ハーツのHP4(130W×4)よりもハイパワー。余裕をもって、スピーカーをドライブできる。

内蔵クロスオーバーは設定範囲が広い
HDP4にはクロスオーバーを内蔵していて、これが使いやすそう。Aチャンネル/Bチャンネルとも、フルレンジ/ハイパス/ローパスの切り替えができ、Aチャンネルはスイッチを切り換えることで、クロスオーバーポイントを50Hzから5kHzの範囲で設定可能。Bチャンネルは×10の切り換えスイッチが付いていないものの80Hzから3.3kHzの間にクロスオーバーポイントを設定できる。つまり、フロント/リアスピーカーを4チャンネルアンプで鳴らすオーソドックスな接続から、フロントスピーカー&サブウーファーを鳴らす接続、フロントのトゥイーターとウーファーをマルチアンプで鳴らす接続まで、多用なシステムに対応できるのだ。しかもハイレベルインプットに対応しているので、純正システムやAVナビのベーシックモデルなど、外部出力(プリアウト)を持たないデッキにも、このアンプを追加できる。デジタルプロセッサーや外部クロスオーバーを使わずに、2ウェイのマルチアンプ・システムが組めるというのは強みで、サイズや価格等を考えても、純正システムを残したまま、オーディオのグレードアップを図りたいというニーズに重宝しそうなアンプである。

その音だが、再生レンジはそんなに広くは感じないし、S/Nや情報量もほどほどなのだが、音楽が楽しく聞こえるのがいい。これは他のハーツやオーディソンのアンプにも通じることだが、明るく躍動感がある音が持ち味だ。音の立ち上がりとか、中域の厚みとか、個々の部分を見ていくと、同価格帯でもより魅力的なアンプは多々あるのだが、全体的な音のまとまりや音楽の楽しさという部分では、このアンプが1枚上手と感じる。という意味ではオーディオ的というよりも音楽的なアンプといえるだろう。純正システムに満足はしていないが、デッキから全交換だとコストがかかりすぎるので躊躇しているという人には、純正デッキ+HDPアンプ+好みの市販スピーカーというプランは、比較的コストをかけずにサウンドのグレードアップを図る手段としてお手頃かもしれない。
ハイレベルインプットに対応。
こちらは電源&スピーカー端子

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