フォーカルP165V15を聴いた!


フォーカル・パフォーマンス・シリーズの最新スピーカー、P165V15(44,100円)が登場した。評判が良い創業30周年記念モデル、P165V30の弟分ともいえるスピーカーだけに期待大。さて、その音は?

このP165V15、V30と比べてみると、付属ネットワークはかなり簡素化されているが、トゥイーターはアルミ/マグネシウムの25ミリ逆ドーム振動板を採用したTNBというタイプで、V30と同じもの。ウーファーは、センターキャップの形状が違い、マグネット部分の奥行きが異なり、マグネット自体も口径が同じ85ミリで、厚みが17ミリから15ミリへ薄くなっているものの、フレーム自体は同じもののようだ。また振動板はポリグラス・コーン。ユニット自体は、限りなくV30に近いようだ。
16.5cmウーファー採用のセパレート2ウェイシステム
そんなフォーカルのP165V15だが、AVナビの内蔵アンプで鳴らしてみても、安心感がある音だ。さすがに低域の力強さや締まり感は薄いものの、十分な量感とともにベースなどの低音楽器が安定したリズムを刻む。その低域が下支えになって、音楽がふくよかに豊かに聞こえる。能率が93dBと高いのも、いい方向に作用しているのだろう。内蔵アンプで鳴らしても、実にスムースなサウンドだ。
トゥイーターはアルミ/マグネシウムの25mm逆ドーム型
低域から高域まで、情報量は十分にあり、音場の再現性に優れているのも魅力。とくにヴォーカルは立体感を伴って音場の中央にスッとまとまる。やや明るく暖かい音色も心地よい。高域に少しキャラクターを感じるが、これもフォーカルらしさを醸し出しているポイントだ。
ウーファーはポリグラスコーン
また100W×4クラスのパワーアンプで鳴らしてやると、低域のエネルギー感が増して、より弾力性に富んだサウンドに変身。さらに、マルチアンプ化し、外部デジタルプロセッサーでクロスオーバーを調整してみると、レスポンス重視の音、より柔らかく聴き心地重視の音など、クロスポイントやスロープによってニュアンスをかえられる。トゥイーターもウーファーもわりと再生レンジが広いようなので、調整する場合の使い勝手も良い。
付属ネットワークはインラインタイプ。V30に比べて簡素化
といった具合に、内蔵アンプでも十分に鳴ってくれるし、外部アンプを加えてグレードアップしても、それにしっかりと応えて、サウンドもグレードアップする。4万円クラスながら懐の広いスピーカーで、コストパフォーマンスは抜群に高いと思う。実は、他のブランドを含めて何機種かを聞き比べていたのだが、一緒に聞いていた某ショップのオーディオ担当者は、このスピーカーを聞いたとたん「これ、これ! 自分が買うんだったら、絶対にこれ!」と一言。僕も同感だ。

アルファ