それに比べて、MZ80からMZ90への進化は、地味な感じがする。もちろんマスタークロックの周辺回路を見直してクロックの精度向上をはかったり、パーツの見直しや回路パターンの改善を施すなど、こまごまとした改良は行っているし、電源回路はICの組合せからディスクリートに替えている。しかし、MZ80とMZ90の基板を見比べてみても、素人目には違いがわからない改良だ。
DIATONE SOUND.NAVIは従来同様PREMI(左)とスタンダードモデルの2機種 |
電源&スピーカー線に高純度銅7Nを採用したハーネスを付属 |
拍手からしてそうだから、楽器の音やヴォーカルの声も細かい部分まではっきり聴こえてくるようになる。ギターの弦がこすれる音、ヴォーカルの微妙なヴィブラート、管楽器のブレスの息づかい、ピアノのペダルの音…etc。細かい音まで聴こえてくるから、臨場感がグッと増すのだ。また、ナビ本体の音量をまったく変えていないのに、なぜか音が大きく聴こえるように感じる効果もあった。
高純度銅7Nケーブルの効果がわかったところで、いよいよナビ本体をMZ90に替える。まず気づいたのは、CDを入れた時に、自動でディスプレイが閉じるようになったこと。MZ80まではCDを入れたあとにディスプレイを閉じるボタンを押さないと閉じてくれなかったので、使い勝手の面では大きな進化である。
アルファロメオ・ジュリエッタのデモカーでも試聴 |
もちろん、楽器の音や歌声も、さらに細かいニュアンスまで伝わってくるようになり、臨場感どころか生々しさも感じられるようになる。しかも、音ひとつひとつの力強さも増すものだから、音に血が通うというか、熱気さえも感じられるようになる。だから、音楽が楽しい。MZ60からMZ80へのモデルチェンジでも、車内試聴時の音質向上のインパクトは大きかったが、今回のMZ80からMZ90への進化は、それ以上のインパクト。DSPを通さないいわば素の音が大幅に向上したのだ。
PREMIモデルには3Way/Lというモードを追加。車載での調整に効果絶大 |
周囲に灯りがない真っ暗な山中で夜空を眺めたとき「うわっ、星ってこんなにあったのか」と驚いた経験を持つ人は多いと思う。周囲が明るい街中では、その光に邪魔されて見えなかった弱々しい光の星までがくっきりと見えてくるからだ。今回のMZ80からMZ90への進化は、それに近い感覚。耳に聴こえるわけではないけれども、音楽信号に含まれる微細なノイズを極限まで取り除くことで、それまでノイズに埋もれて聴こえなかった細かい音までが聴こえてくるようになるし、音場空間そのものの静けさが高まる。そのため、楽器等、ひとつひとつの音そのものも際立ってくる。
そんな大げさな、と思うなら、ぜひ実際に試聴してみるといい。毎週末、全国各地の量販店やカーディーラーの数カ所で試聴会を行っているので、近くの試聴会場へ足を運んでみることをおすすめしたい。
・CLUB DIATONE
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